先日の「チェルノブイリと福島原発のちがい」(http://www.facebook.com/note.php?note_id=173945779322513)を読んだ、とある方に元記事のFacebook ノートはこちら
「今、話題になってる水道の「放射性ヨウ素」のことをあの調子で説明しれ」
と言われたので、頑張ってやってみます。俺、そんなに詳しくないのになーw
そもそも「放射性ヨウ素って何?」ってのを説明するには以下の2つを説明しないといけないです。
- そもそも「ヨウ素」って何?
- 放射性と、そうじゃないのと何が違うの?
で、原発の時なんかよりも実は説明が色々必要になり、めっちゃ長くなりましたw
以下、説明を書きましたがすんごい長いので、まぁ頑張ってみましたので、ご興味あれば、頑張って読んでみてくださいw
※こちらも、転載などご自由にどうぞ。
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■「ヨウ素」って何?
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ヨウ素とは、ミネラルウォーターでおなじみの「ミネラル」の一種で、水素、酸素のような元素の1つ。
海藻や魚に豊富に含まれていて、そもそも、最初にヨウ素が発見されたのは海藻の中からでした。
別名「ヨード」。
「ヨード卵」や「ヨードチンキ(赤チン)」のあのヨードです。
海藻や魚に多く含まれているので、昔から海に囲まれ、魚を食べてきた日本人は、世界中でも特にヨウ素をたっぷり食べている民族だと言えます。
あまりに食べ過ぎているので、平均すると「身体に必要な量」以上のヨウ素を摂取しています。
つまり日本人は「ヨウ素食べ過ぎ」の民族です。
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■甲状腺とヨウ素
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このヨウ素を含んだものを食べたり飲んだりすると、ヨウ素は身体の中の「甲状腺」というところに集まって蓄えられます。甲状腺は身体に必要不可欠なホルモンを作る器官で、ヨウ素はそこで作られるホルモン(甲状腺ホルモン)の原材料になります。
甲状腺ホルモンは、「代謝」つまり細胞をどんどん古いものから新しいものに作りかえる働きと。
「自律神経」、つまり体中の様々なものを自動でコントロールして健康な状態を保つ機能の2つに大きくかかわっているとても大事なホルモンです。
言い換えれば「身体を作って、維持するためのエネルギー」という重要な役目があります。
したがって。もの凄い速さで日々成長する、つまり代謝が活発な乳幼児ほど、その材料であるヨウ素は重要な物質です。
「肉ばかり食べないで、魚も食べないと大きくなれないよ」「わかめや昆布は身体にいいのよ」と小さい頃に親に言われたことあると思いますが。実はあれ、本当に科学的に根拠のある話なんです。
でも、これは後の話で重要になるのですが。
「必要以上のヨウ素」は、「倉庫、兼ホルモン工場」である甲状腺の倉庫に入りきらなくなるので、「もう倉庫一杯なので結構です」となって、おしっこやウンチと一緒に身体の外に排出されます。
ここまで書いて「あれ?」と思った人がいるかもしれません。
今回の原発事故で、放射線対策に「ヨード剤」というのが配られています。
そもそも「ヨード(ヨウ素)」って「放射能を防ぐ効果があるんじゃないの?」と思われたかもしれませんが、これは次に説明する「放射性って何?」ってところで説明します。
あと実は、ヨウ素には「ヨードチンキ(赤チン)」でも使われているとおり、消毒作用があります。
ですが、別にヨウ素は放射能を打ち消してくれるわけでも、放射能を「解毒」してくれるわけでもありません。
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■「放射性ヨウ素」と「普通のヨウ素」は何が違う?
(「同位体」のおはなし)
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今回の水道水のやつで大騒ぎになってる「放射性ヨウ素」とは、「ヨウ素の放射性同位体」のことです。
ヨウ素はヨウ素でも、実は微妙に違うものです。
「放射性同位体」って何?って説明をするには「原子」ってものを説明しなければなりません。
「原子」というのは、水素とか酸素とか、中学の理科でならっているはずですが、「陽子」と「電子」の組み合わせでできています。
こう書くと「???」なので、こう例えてみましょう。
「原子」とは「木製の家具」です。
身の回りの木製の家具は大体、おおざっぱにいって「板」(陽子)と「角材(棒)」(電子)でできています。そして板同士、あるいは板と角材同士を接着剤やクギでとめて作られています。
この「接着剤やクギ」にあたるのが「中性子」です。
ヨウ素も原子の一種なので、ここでは「板と角材をクギでとめた木製の椅子」ってことにしましょう。
椅子(ヨウ素)を作る時には、設計図どおりに板と角材を組み合わせて、クギをうって作ります。
で「同位体」、とは「一見同じ椅子のように見えるが、実は角材や板、使ってるクギの数が違う」物質のことです。
一見似たように見えて、実は材料の数が違っても。椅子であれば「ちゃんと座れる」なら(これを「安定同位体」と言います)別に問題はありません。
ところが「放射性同位体」とは「一見すると同じような椅子に見えるが、実は材料が足りなかったり、無駄な材料を使ったせいで壊れやすくなっている椅子」なのです。
見た目は同じでも、大事なクギを何カ所かうち忘れているので、座ると椅子がつぶれてしまって痛い目にあい、下手をすると怪我をします。
ちなみに「本棚」やその他様々な木製家具(原子)にも、それぞれ「安定同位体」や「放射性同位体」が存在しています。
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■「放射性(同位体)ヨウ素」はなぜ危険?
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ヨウ素を「椅子」に例えてしまったので、以下はへんな話になってしまいますが。
甲状腺でホルモンを作るためには、その材料である椅子(ヨウ素)が必要です。
そこで甲状腺は、ホルモンの材料である「椅子」をせっせと倉庫にためておきます。
この時、ちゃんとした椅子(通常のヨウ素)が運びこまれてくれば問題ないのですが。「欠陥品」である「放射性ヨウ素」が運びこまれてきても、甲状腺にはその見分けがつきません。
そのため、、せっせと欠陥品の椅子をどんどん倉庫に貯めてしまいます。
そしていざ、ホルモンを作るために材料である椅子を倉庫から工場に運んで作業を開始しようとしたところ、欠陥品である「放射性ヨウ素」が工場の中で次々と壊れてしまい、工場の中のあちこちで「事故」が起こります。
場合によっては倉庫に保管している間に、他の椅子と積み重ねてた重みに耐えられずに壊れてしまい、倉庫の中でも「事故」を起こします。
この「事故」が、「甲状腺異常」というやつです。
ホルモン工場である甲状腺が、その材料である椅子(ヨウ素)の欠陥品(放射性ヨウ素)のせいで事故をおこしたため、ちゃんと動かなくなったり。
かろうじて動いてても、事故続きで甲状腺ホルモンを必要な量作ることができず、「身体を作って、維持する」エネルギーが不足して、それができなくなります。
最悪の場合、工場・倉庫そのものが壊れてしまう(甲状腺癌)こともあります。
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■ヨウ素が放射能に効く?
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放射能にヨウ素(ヨード)が効果があるというのは、厳密に言うと正しくありません。
それはさておき「効果がある」というのはどういうことかというと。
「欠陥品の椅子(放射性ヨウ素)で倉庫を埋め尽くされる前に、ちゃんとした椅子(正常なヨウ素)で倉庫をぎっしり埋めておけば欠陥品が倉庫に入ることがなくなる」からです。
したがって、ヨードが放射能に効くには、被爆前(欠陥品が運びこまれる前)に、「あらかじめ倉庫をちゃんとした椅子で満たしておく」(ヨード剤を摂取)する必要があります。
欠陥品運びこまれてから(放射線に被爆してから)慌ててヨード剤を飲んでも効果がないのは、そのためです。
じゃあ、普段から海藻やら魚を無闇やたらに食べておけばいいって思うかもしれませんが。
実は「ある程度の効果」しかありません。というか「ほとんど効果はない」です。
何故か?
たとえば、無闇やたらに魚や海藻を食べても甲状腺は「必要な分だけ倉庫に貯めて、あとは捨てる」ことをしますので。
- 「むっちゃヨウ素の入ったものを食べる」
- →「倉庫に必要なだけしか貯めず、あとは捨てる」
- →「貯めたヨウ素でホルモンを作る」
- →「ホルモンを作って倉庫が空になったらまたヨウ素を必要なだけ貯め、あとは捨てる」
これをずっと繰り返しているので、一食で大量にとっても意味がないし、しかも一日三食程度じゃ
- 「海藻食べる」→「消化する」→「胃や腸から吸収する」→「血液を通って甲状腺に運ぶ」
ってまどろっこしいことをモタモタとやってる間に、甲状腺は「工場で材料を使いきってそれより先にヨウ素を貯めはじめる」か、「やっと甲状腺たどり着いた頃には、もう倉庫は満杯」ってことがしょっちゅう起こってしまいます。
したがって、いつかどこかのタイミングで、「食べて取り込んだヨウ素」よりも先に「放射性ヨウ素(欠陥品)」ばかりが倉庫に到着して蓄えられる時がきてしまいます。
だから「ヨウ素の入った食べ物を食べる」だけでは、非効率で効果が低いわけです。
(ゼロではないですが、焼け石に水です)
一方、最近ニュースで出る「ヨード剤」ってのは。
さきほどの「食べる」→「消化する」・・・ってモタモタ運ぶのよりも、もっと早く「倉庫まで特急便ですぐにお届け」、しかも「倉庫に入るとしばらくの間、そこに居座り続ける」ことができます。
なので有効なわけです。
ところで、「ヨード入りのうがい薬」を飲めば効果あると、ガブ飲みする人なんかがいるそうですが。それ、効果がないどころか「むしろ危険」です。
変な話なんですが、ヨウ素って実は(ちゃんとしたヨウ素ですら)「劇薬」です。
「身体を作って維持するのに必要不可欠な大事なもの」なのに、実は大量にとりすぎると「毒」になります。ヨウ素って、物質の性質としては、みなさんよくご存知の漂白剤に入ってる「塩素」にとても似ている物質なんです。
「ヨード入りうがい薬」を飲むのは、「量が多すぎると毒になる」ヨウ素を、「食べ物やヨード剤よりも大量に身体に入れる」ことになります。
その上、ヨード剤のように「早く届ける」「長く居座る」ようにはなっていないので、結局は「海藻を食べた時」と同じ「まどろっこしく、モタモタした道順」で倉庫(甲状腺)に到着するのです。
つまり「とりすぎて毒になっちゃう」上に、「ヨード剤のようなことにもならない」という。
ほんと、百害あって一利なしです。
さきほど「ヨウ素は塩素に性質が似てる」って書きましたが。
よく「塩素漂白剤」で「布巾」を殺菌するように。「ヨードチンキ(赤チン)」がばい菌に効くのはそのためです。
ってことは、「ヨード入りうがいクスリをガブ飲みする」のって、「ワイドハイターをガブ飲みする」のと「似たような」ものです。
だから本当に無意味なだけじゃなく、マジで身体壊しますのでやめましょう。
「だったら、ワイドハイターガブ飲みするよ!!」とか言うなら、どうぞご勝手にw
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■寄り道:「放射能」・「放射性物質」・「放射線」??
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さてここで閑話休題。
ところで「放射"線"」と「放射"能"」、「放射"性"物質」ってよく混同されるんですが。
この3つの違い、わかりますでしょうか?
「放射線」ってのは、ここまでの例で言うなら「欠陥品の椅子に座って椅子が壊れた」時に「座った人に痛みを与えたり、怪我をさせる力」のことです。
「放射能」とか「放射性物質」ってのは、「放射性物質」はこの場合「欠陥品の椅子」。
「放射能」とは「使うと怪我をさせるおそれがある欠陥」こと、そのものを言います。
「欠陥品の椅子」(放射性物質)は、だから「放射能」(怪我をさせるおそれのある欠陥)があり。
実際に座ると「放射線」が出(怪我や痛みを受け)ます。
よくある「放射"能"物質」とか(これ実は正しい言葉ではありません)、「放射性物質」って言いますが。
これ、ようするに「放射性同位体」のことです。
えーっと・・・・「RPG」で例えるとですね
- 「放射能」:主人公の「装備」画面にある「防具」とか「鎧」とかの1つで、「武器」のとこ。
- 「放射性物質」:「爆弾」とか、「武器」として装備できるなる色々なアイテムのこと。
- 「放射線」:「装備」/「武器」で今、主人公が装備してるアイテム(例えば「爆弾」)の「攻撃力」
って考えるとわかるでしょうか?
でもって、「ヨウ素が放射能に効く」ってのは、別に「爆弾」の攻撃力(放射線)を防ぐ「盾」になるわけじゃないんです。爆弾が爆発して受けたダメージを回復する「薬草」でもありません。
単に「倉庫の中が爆弾で一杯になって、爆発される前に、安全なもので一杯にしておいて爆弾が倉庫に入ってこないようにする」程度のことしかできません。
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■なぜ、放射性ヨウ素は乳幼児に危険なのか?
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「放射性ヨウ素」ってのは、「(普通の)ヨウ素」と一見似てる欠陥品で。
何故危険なのかってのを話ましたが。
今回の「水道への放射性ヨウ素混入」が「乳児には危険だから飲ませない方がいい」「大人は問題ない」となっているのは何故か?
そもそも乳幼児は、大人よりも活発に「代謝」をしています。
つまり「どんどん大きくなる」力が、大人と桁違いに大きいのです。
したがって、赤ちゃんは「代謝」の源である「甲状腺ホルモン」を大量に消費します。
そのためホルモンの「倉庫、兼工場」である甲状腺は、大人に比べ24時間フル操業で大忙しで動いています。
そのためにあっという間に、大人以上の凄い速さで「倉庫」が空になります。
で、工場で使う材料がすぐに不足するので、次から次へとヨウ素を取り込みます。
そのせいで、大人よりも「欠陥品が倉庫に紛れ込む/欠陥品だらけになる/欠陥品で事故が起こる」可能性が、ぐんと高くなります。
一方、酸いも甘いも噛みつくし、枯れていくだけの「大人」(苦笑)の甲状腺は
「もうさー、俺ら十分ホルモン作ったし。そんな一生懸命やんなくてもいいよねー」
とダラダラと操業しています。
したがって「なかなか倉庫も空にならない」ので「欠陥品が紛れ込む可能性は格段に低くなる」のです。
だから「大人は問題ない」ということになっています。
・・・という感じで長くなりましたが、今回の水道水への混入のニュースを観る時のご参考になれば幸いです。
まぁその上で、どう行動するか、どう備えるかは、皆さんがお考えください。
ちなみに私、以前に東京には2度、延べで10年ぐらい住んでましたが。
その間、水道水はまったく飲みませんでしたよ(煮炊きには使いましたが)
だって「水道水がマズくて飲めたもんじゃない」からw
2011年3月24日木曜日
はやわかり「放射性ヨウ素」のおはなし(超長文)
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